| 持ち帰り
タイ人の家庭には、台所がないところが多い。アパートや、マンションなどの集合住宅では、台所がないのが一般的だ。そのためか、持ち帰りが盛んである。
タイに初めて来て、驚いたのが、タイ人がラーメン(バーミーナーム)をテイクアウトしていた光景だった。屋台のおばさんは、なんでもかんでも、ビニール袋に詰めていた。たくさんの、大小のビニール袋を使って、ラーメンを持ち帰れるように、工夫して詰めていた。
まず麺と具と野菜。さっと湯がいて、湯切りする。それをビニール袋につめて、上部を輪ゴムクルクルを回して止める。この時の、屋台のおばさんの手つきが見事だった。説明が難しいが、まず、重くなったビニール袋の遠心力をうまく利用して、輪ゴムを数回巻き付ける。それから輪ゴムの端を、ビニール袋の最上端に軽く引っかけるのだ。これは、後から、ほどき安くするため。時間にして、約2秒。早業である。それでいて、このビニール袋に汁物をいれても、少々のことでは大丈夫で、漏れ出したりしない。
それから調味料4種類。粉末乾燥とうがらし、酢、砂糖、砕いたピーナッツ。ご丁寧にも、小さなビニール小袋に、それぞれ一つずつ詰めてくれる。
そしてスープを、ビニール袋に入れて輪ゴムで最上端を止める。最後にこれらをまとめて、ひとつの手提げビニール袋に。たった1食のラーメンのために、いったい、何袋のビニール袋を消費したであろうか?環境問題に関心のある人ならば、このあたりが気になって仕方ないはずだ。
ところで、おばさんも大変だろう思う。お客さんが、店頭(路上)で食べてくれれば、器にさっと入れるだけで済むわけだが、持ち帰りのお客用には、手間も時間もかかる。見ているだけでも、なんだか申しわけなくなってくる。
日本でラーメンは、テイクアウトできない。日本では、汁物、そして料理をビニール袋に入れる習慣がない。入れるとしても、乾燥したお菓子類や、調理前の野菜や、くだもの程度。タイでは頻繁に見かける光景である、ジュースと氷をビニール袋に入れて飲むということは、日本では、ますお目にかからない。
タイは、ラーメン以外にも、いろいろなものが、テイクアウト可能だ。チャーハンも、持ち帰り用と言えば、白い油紙に包んでくれる。もち米や、甘味系のお菓子などは、バナナの葉で巻いてくれる。くだものジュースは、竹の筒に入れてくれる所もめずらしくない。
ところで、この竹の筒。私は使い捨ては、もったいないと思う。竹の大きさは、ちょうど一節分だが、直径約5センチ、高さ25センチくらいで、結構大きめの竹である。香りもよく、これさえも、ビニール袋感覚で使い捨てされているのを見ると「まだ、例えば、花瓶のようにしてでも、使えるのに」と、貧乏性の私はいつも思ってしまう。
タイは、日本以上に、豆乳に人気がある。日本のように、つめたく冷やして飲むということはほとんどなく、たいてい砂糖入りの、アツアツの豆乳だ。早朝と夕方には、たくさんの屋台が出ていて、結構繁盛しているようだ。私も毎晩買いに行くが、一度として待たずに買えたことがない。たいてい先客がいて、順番待ちである。
先日、めずらしい光景をみた。ある高校の放課後の、正門前での出来事。ここにも豆乳屋台が出ていた。そこで女子高生が、左手に揚げパン、右手にはビニール袋入りの豆乳を掴み、ビニール袋の一端を口で噛みちぎっていた。そして、豆乳入りビニール袋に、「ガブッ」と、直接かぶりついていたのだ。「えっ」と思った。タイ人は、あんなにストロー好きで、そして上品な食べ方、飲み方をすると思っていたのに。
このことをタイ人の友人に話したところ、意外にも「それは結構、普通の飲み方」とのこと。ただし、「若者だけ」だそう。学生の、放課後の買い食いは、どこも同じのようだ。それにしても、大胆だなぁ。でも、とてもおいしそうだった。
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